他人が気になってしまう方へ

先日、Aさんという方とお話をする機会がありました。Aさんはとても明るく前向きで、周りの人のことをすごく大事に考える方です。会話をする中で常にAさんの優しさや心遣いが感じられ、一緒に時間を過ごすのが楽しくなる、そんな方です。

でも、その私が「心地よい」と感じる雰囲気作りをAさんは半分無意識にでしょうが『一生懸命』作っていて、もしかしたら疲れてしまうのではないかなと感じることがありました。さらに、そんな他人への配慮を最優先にするAさんなので、対話の相手から思ったような反応が返ってこな場合はとても不安になるようですし、言葉を発する前から「これを言ったら気分を害されるのではないか」「この言葉は相手にどう思われるだろうか」と色々考えてしまい、結局言いたかったことや言うべきだと思ったことも言えず、あとで言えなかったことを反省することもあるようです。

Aさんとは違うタイプの方で、Mさんという方がいらっしゃいます。Mさんはポンポンと面白い話を出してくださったり、たくさんアイデアをお持ちでいつも皆を引っ張っていってくださる方なのでいつもMさんの周りには笑い声が響いています。

このMさん、周りの人が楽しめているか、輪の中に入れているかということをものすごく注意してくださるお陰で、Mさんと一緒にいて楽しくないはずがないのです。でも、はっきりとはおっしゃらないものの、Mさんご自身は気を配りすぎていて一人になったときに脱力感や疲労感を感じることが少なくないようです。お仕事で周囲に配慮する、というような感じであればお仕事が終われば止められるけれども、人といる限りずっと配慮し続けているMさんは寝るまで緊張のしっぱなしなのかもしれません。

また、Uさんというものすごく優秀で、仕事のできる方がいらっしゃいます。彼女は頭が良く、会話をしていても鋭い視点を持っていたり、私には到底思いつかないようなアイデア・発言が出てきたりして、いつも驚かされます。

Uさんが仰った一言でものすごく意外な言葉が印象に残っています。それは、自分は正当に評価されておらず、そのために自分で自分の価値や意義に疑問を抱いている、ということでした。彼女はおそらく誰が見ても優秀で、同僚や部下として頼もしく、また、何が合っても信頼できる人、というイメージがあるのでとても驚きました。別に誰かに何かを言われたわけでも、大きな失敗をしたわけでもないそうなのですが、周囲からの褒め言葉がないと不安を感じるようです。

Aさん、Mさん、Uさん、この３名に共通しているのは、周りの人たちが自分や自分の言動をどう思っているかがとても気になり、その周囲の人たちの評価次第で自分自身も大きく一喜一憂してしまう、ということです。Aさんは「これを言ったら気分を害されるのではないか」、Mさんは『これをすることを期待されているのではないか』、Uさんは『自分を評価してもらいたい』のようなことを考えていて、それらの考えにややもすれば振り回されてしまうかもしれない危険性をはらんでいます。

他人のことを気遣える、他人の目線に立って考えられる、というのはとても貴重で有益な資質だと思います。しかし、もしそれが自分を振り回してしまい、自分が自分らしくいられずつらい思いをするほど重要かというと疑問が残ります。

皆さんの中にもそのような感覚に陥る方はいらっしゃらないでしょうか？

もし、他人の視線を気にすることなく日々過ごすことができたら、何が変わりますか？

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